ミッドハイ・ユニットの補修

ミッドハイユニットのエッジ部分に充填されているビスコロイドは経年変化で
散逸(?)してしまう個体をいくつか目にする。

ならば同じものを再充填して補修してみた。

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SB-5000にも同じユニットが使われているのでオーナーは参考にしてみて。


EAS-6PH13Sの補修

このミッドハイユニットEAS-6PH13Sはエッジ部分にビスコロイドという弾性体を充填した構造のスピーカである。

問題はこのビスコロイドが経年変化で蒸発?してしまうことだ。
写真の左上の赤で囲った部分が穴あきなのがおわかりだろうか?
(クリックして拡大画像でチェックされたし)

実は右側の部分も結構浮いている。というより全体的に減っているというのが実体だ。

このスピーカ、ミッドハイと呼ぶのは3wayのSB-007だけらしく、部品名称はTWEETERである。 もともと2wayのSB-5000のために作られたのかも知れない。
3つのユニットうちミッドハイだけが共用部品である。
SB-4500のTWEETERもよく似ているが、こちらは表面にテーパーが付いた形状だ。 SB-4500は5000の後継として5300とともに1976年に追加された機種でコストダウンが計られている)

裏返すとこんな感じ。
アルミダイキャスト製のフレームがエッジ部分を受けていて裏側からは見ることも触れることもできない。

ところでユニットには8Ωと表示されているが、SB-007の技術資料では6Ωだということになっている。 これは元々採用していたSB-5000がシリーズ唯一の8Ωモデルだったので当然かも知れないが、007のユニット情報ではなぜ6Ωと記されたかは今となっては謎の一つだ。

これがビスコロイド。
秋葉原のコイズミ無線100g入り\1,500-で販売されている。 今回は秋葉原に立ち寄る旅人にお願いして買ってきてもらったのでこれ以下の少量があるかどうかはわからない。

1ペアのユニットを補修するのに必要な使用量は3〜5グラム程度。
25人ぐらいで共同購入したくなる量だ。 とはいえウレタンエッジ(劣化前)やゴムエッジ、コーン紙の補修にも有効だということなので、保管さえ厳重にすれば持っていて損はないだろう。

あと、スポイトは必須でしょう。 画材屋などにあるよ。

スポイトで吸い取る。 粘度が非常に高いのでマックシェイクよりも吸引力が必要。 たっぷり吸い上げておかないと「補修途中で液切れ」→「空気が押し出される」→「泡がはじける」→「液が飛び散る」→「(;。;)」というはめになっちゃうよ。

販売されている容器は密閉性が悪いので、できれば完全密閉のできる 容器に移し替えたいところ。 溶剤が飛んでしまうと硬化してしまうので注意が必要。(完全に硬化する以前であれば溶剤追加で何とかなりそうだが…)

今回は旧いエッジの上から重ね塗りをしたが、うまくできるなら劣化した旧いビスコロイドは取り去っておくべきであろう。
(溶剤を使えば簡単にできそうだ)

塗り方のコツはスポイト固定で一定量の液体を流しながら、もう一方の手でユニットを回してやるのがよい。

充填直後。
このあと液面は少し下がるので、必要に応じて塗り足しても良い。

コーン紙側へのはみ出しは直後に溶剤で拭き取る
(今回はラッカーシンナーを用いたが、できれば同じにおいのする有機溶剤が好ましい。マニキュアの溶剤と同じかも)

逆にフレーム側にはみ出したビスコロイドは硬化するのを待って(2〜3日後)カッターで切り取ってやるのが良いだろう。
硬化前だと切れないし、むしり取ると全部くっついてきてしまう。

あんまりきれいに出来んかったなぁ〜。

1日置いて装着。 早速試聴してみたが以前よりも高音がくっきりした。 当然の結果というべきだが、実は意外であった。

くま自身、そして中古屋のおっちゃんも、こんな硬いコーンほとんど動いていないから、エッジのあるなしは音にはあまり影響しないのでは?と思っていたからだ。

なにごとも端はしっかり押さえておかねばいかんということだろう。


こんなとこです

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